2003年(1月〜6月)


<太モモの威力>

実は私は5種類のピンセットを操る女です。

家具の隙間に入った紙粘土や引き戸のレールにはさまった
ブロックの破片などを取り除くのに、ピンセットは欠かせません。
そして、何と言っても鼻の穴に詰まったモノを取り出すにはピンセットが一番です。
アメリカの救急病院で使っていた鼻用ピンセットに勝るモノは今のところありませんが、
それでも、数々の経験を積む内に
私は市販のピンセットでこうくんの鼻の穴からさまざまなモノを取り出す技術を習得しました。
その中で、もっとも効果的に詰め物をキャッチできたのは
3Dピクチャー(参照・クラフト部屋)専用ピンセットです。

フツーのピンセットを鼻の穴に差し込むと、自分の手が邪魔になって中がうまく見えません。
でも、3D用は先端から2センチほどの所で折れ曲がっているので、奥までよ〜く見えるんです。
しかも、ものすごく細かいパーツをはさめるように作られているから
ホンの少しの突起でもちゃんとつかんで引っぱり出せるんですねぇ。
すばらしい。

ここ数日、鼻詰めがマイブームのこうくん。
見つけたら、すぐさま取り出さなければイケマセン。
時間がたつと、奥まで入って見えなくなってしまうからです。
そうなったら、いくら経験豊富な私でも取り出すことはできません。

まず、父かおばあちゃん、最悪バボーを呼んできて
こうくんのお腹に乗っかってもらい、手と足を封じます。
そして母がおもむろにこうくんの顔を太モモではさんで
鼻の穴を開きながらピピッ。
するする〜っと出てきます。

紙くずにからまった髪の毛をはさんでひっぱったら
ちゃんと紙くずが全部出てきた事があって
その時は震える程感動しましたねぇ。

戦利品をブラブラさせながら「このピンセットってすごいわ〜」と喜ぶワタクシ。
こうくんに馬乗りになったまま「いや、取れるおまえがすごいと思う」とほめる父。
母の股間にはさまって、目を白黒させているカワイイこうくん。

ん?
待てよ。

もしかして、こんなに上手に引っぱり出せるのは
この豊かな太モモのおかげでは・・・・?

そう言えば、ディズニーシーの救護室では、看護婦さんが頑張ってくれたのに、
押さえ方が甘くて、こうくんが動いちゃって取れなかったんだ・・・・

私のやわらかな太モモにピッタリはさまって微動だに出来ないこうくん。
太モモが弾力を失ったら、鼻の詰め物は絶対取り出せない。

こうくん、ごめんね。
親子水泳教室に通うために、今年こそダイエットしようと心に誓った私だけれど
涙をのんで断念するわ。
水泳より、あなたの命の方が大事ですモノ。

この太モモの豊かな脂肪は一生絶対守るからねっっっ


(注・お子さまが誤って鼻に異物を入れてしまった場合
間違っても自分で取り出そうなどと考えてはいけません。
すみやかに耳鼻科に駆け込みましょう。)

(2003.1.19)


<これじゃ、フツーの子みたいじゃん!!>

3学期が始まった最初の日曜日
もう、どうにもならない状況になってしまったので
仕方なく、意を決して、こうくんの髪の毛を切りました。

冬休み中に、切ろう、切ろうと思っていたのだけども
こうくんのヘアカットには、父と母、両方の気力と根性が必要です。
いくら十年以上連れ添った夫婦でも、気力と根性が一致する時間なんて、
そうはない。
で、結局、冬休みが終わっちゃったんだなぁ。

でも、切るとなったら、トコトン細部にまでこだわるビジュアル至上主義の母なので
泣こうがわめこうが、きっちりお仕事致します。
そりゃあもう、うっとりする位のいい仕上がり。

夕方、おばあちゃんの里帰りに同行していたバボーが帰ってきて
こうくんを見るなりのたまった。

「これじゃぁ、フツーの子みたいじゃん!!!」

は?????

「みんなが困っちゃうよ。」

へ?????

「あ、でも、バギーに乗ってればダイジョブか。
1年生でベビーカーに乗ってるフツーの子はいないモンね。」

・・・・・・・・
呆然とする大人3人。
一体、この娘はどこまで分かって言っているのか。

こうくんに話しかけてくれた知らない大人の人に、
「こうくんはね、ジヘーショーっていう病気だから、お返事できないの。」
カワイイ声で無邪気に説明するバボーの姿を何度も見てきた。
そう・・・・「無邪気に」言っているのだと思っていた。
こうくんの水芸や砂芸、脱出イリュージョンを嬉しそうに自慢するバボーを
幼さ故の無邪気さだと思ってながめていた。
相手が気まずい思いをしないように先手を打ってきた母の言葉を
ただ単に、そのまま真似しているだけだと思っていた。

とんでもなくバボーを見くびっていたのかもしれない。
だってバボーは、ものすごくカワイイ声でたどたどしく頼りなげに話すし、
ふんわかほんわか、のほほ〜んって雰囲気の子どもなのだ。

だけど、
こうくんに向けられる周囲の視線の意味も、それに対する私たち親の思いも
実は分かっているのかもしれない。

バボーの学校に、来年度からのこうくんとの交流をお願いしている。
そろそろ同じ地域の子ども達にこうくんの状況を知ってもらいたいし、
バボーが無邪気にこうくんの事を話せるうちに、既成事実を作っておきたいという思惑もあった。
でも、他の子がこうくんを見てどう感じたか、言葉に出さなくても
バボーはもうちゃんと読み取れてしまうにちがいない。
その上での交流。
バボーを苦しめることにならないだろうか?
無理して頑張っちゃったりしないだろうか?

「今後、こうくんと一緒には外出しません」宣言
「こうくんの学校行事には金輪際行きません」宣言
「こうくんと離れて生活したい」宣言
そういった類の宣言が出される時期は
私が思っているより、ずっと早く来るのかもしれない。
これらは、成長の一過程だから、適当な時期に出る方がいい。
出なかったら逆に後が怖いと思う。

物わかりの良すぎるお姉ちゃんになんてならなくっていい。
イヤなときはイヤ、辛いときは辛いって言えばいい。

でもでもでも・・・
出来ることなら、出来るだけ長く
ふんわかほんわか、のらりくらり、ゆったりのんびりまったりと・・・
そんなバボーでいてほしかったのになぁ。

(2003.1.19)



<受診のココロエ>

こうくんが発熱した。

予兆は全くなく、金曜日の朝、いきなりの39.5度。
多分インフルエンザだろうけれど、何で今日なわけ???

実は、母は土日に大切な用事があって
1泊で横浜に行く予定だった。
すっごく楽しみにしていたのになぁ。
こう父はアメリカ出張中・・・
絶対無理じゃん(T.T)
世界一ついてない女を自認している私だから、
こーゆー事はよくある、よくある事なのだけども、悲しいっっ

取りあえず、病院に行って
48時間以内に飲めば効くという特効薬を頂かねばなるまい。
こうくんのかかりつけのM診療所の予定表を見ると
金曜日は午後診療のみ。
特効薬は早ければ早いほど効くと聞いていたので
バボーが喘息発作の時お世話になった隣村のT診療所に駆け込むことにした。

初めての病院はイヤだけど、そんな事言っていられない。
T診療所は、老人福祉施設と併設しているのでお年寄りが多い。
更に、専用の巡回バスに乗って近隣のお年寄りがいっぱいやって来るので
そのバスよりも早く病院に到着しなければイケナイ。
急がねばっっ。

あ、まずい。
アレをコピーせねばっっ(急げ、急げ)

アレ、そう、アレです。

初めて行った病院で
子どもの障害特性について説明するのはとっても難しいです。
看護婦さんに伝えても、ドクターには伝わらない場合もあるし、
看護婦さんも一人じゃないから、いちいち説明していたらそりゃもうタイヘン。
なので、あらかじめ、「医療機関へのお願い」を書いたものを用意しておくと、
すっごく助かります。
ちなみに私は、自閉症協会愛知県支部発行のカードを愛用しています。
コピーを何枚かとっておいて、「カルテに貼って下さい」とお願いしていますが
今のところ、断られたことはありません。
(説明カードについてはこちらの2001年夏号を参照して下さい)

全然参考にはならないと思いますが、
こうくんの説明カードの記載内容は以下の通りです。
             <保護者からお願いしたいこと>
・最重度の知的障害を伴う自閉症です。
・非常に多動なので待合室で待つことはできません。
 車の中で待たせていただくか、時間を決めて再度来院させて下さい。
 (安全な個室があればお貸し下さい。)
・用紙記入や会計などの際、どなたかこうくんと手をつなぐか押さえていて下さると
 他の方に迷惑をおかけしないで済みます。可能であればお手伝いをお願いします。
・言語は全く理解していないので、言葉かけ等は意味がありません。
 速やかにタオルなどで固定して治療を行って下さい。
・注射器や聴診器などの医療器具を本人の目の前や近くに置かないで下さい。
 (触って壊す可能性があります。)
・薬は経口のものは殆ど吐き出します。可能であれば、1.5倍から2倍の量の粉薬、
 あるいは座薬を処方して下さい。
お手数をおかけしますが、どうかご理解いただき、治療していただけますよう宜しく
お願いいたします

コピーを準備して、いざ出陣。
そう、ホントに初めての病院に行くときは「出陣」て気分になるのだなぁ。

診療所に入ると、バボーの時にお世話になった顔見知りの看護婦さん達がいて
「あら、弟さんもいたのね?かわいい〜」「ホントだ〜」
笑顔で声をかけて下さる。
ええ、ええ。そうでしょう、そうでしょうとも。
でも、今日はそれじゃ困るんです。
「熱がとても高いので、ベットを貸して下さい」
「じゃ、取りあえず初診の手続きして、予診と尿採ってからベットに行こうね〜」
ううう、そんな芸当出来ないよぉ。
「知的障害があるので、私一人では無理なんです。
どなたかお手伝いしていただけませんか?」
「・・・・・・わ、分かったわ」
ベット直行(爆)
こうくんを後ろから羽交い締めにして一緒にベットに転がって
検温レスリングをしていたら、
(この検温レスリング、待合室じゃ絶対出来ない技だと思う)
「結構元気はあるのね〜、お熱どの位かな〜」と看護婦さん。
ピピっと鳴ったので、体温計を見るとやっぱり39.5度。
体温計を渡しながら
「さすがに9度5分もあると、おとなしいので助かりました〜」(にっこり)

VIP待遇になったのは言うまでもない。
予診も診察もお薬も会計もぜぇんぶその部屋で済ませて下さった。
ああ、ありがたや、ありがたや。
T診療所のみなさん、本当にありがとうございましたo(*^ー ^*)oにこっ♪
これからも、どうか宜しくお願いいたします。

帰宅後、ばあちゃんと二人で投薬レスリングに挑む。
こうくんの上に馬乗りになって泣きながら押さえるばあちゃん(泣くなよ〜〜〜)
太モモできっちりこうくんの顔を押さえ、口をこじ開け、少量ずつ粉薬を振り入れる母。
手元が狂ってちょっと多く入れてしまうと、ぶはっと吐き出し、顔面まっしろ。
インフルエンザの特効薬は今品薄で、規定の量しかもらえなかった。
一粒たりともムダにしてはイケナイ。
顔にかかった粉薬を丁寧にかき集めて口に押し込む。

特効薬はとてもよく効いた。
効きすぎるくらい、よく効いた。
解熱剤は使わなかったのに、夕方には平熱に下がり
ゴクゴク飲んで、ガツガツ食べ始めた。
更に、砂芸させろ攻撃(クツ投げ)まで始まった。
外なんて行けないってば・・・

「このぶんだと、明日は全快だのん。うはははは・・・」
豪快に笑うばあちゃん。
いぢわる・・・(T.T)
さっき、ホテルもショートステイも全部キャンセルしたの知ってるくせに。
それに、いくら元気になったって、インフルエンザだもん。
人に預けて外出なんてできないじゃんかぁ(号泣)

ばあちゃんの言葉通り、翌日の土曜日にはすっかり全快のこうくん。
体が丈夫なのは本当に有り難いことだ。
なんでも人一倍丁寧にひいてしまうバボーを育てていて、そう思う。
でもさ・・・
インフルエンザだよ?
フツー、2〜3日は寝込むんじゃないの?
ふうふう唸って寝込んでいればアキラメもつくのにさぁ・・・
遠く横浜の空を思いながら
どうにも釈然としない母。

教訓
こう父の出張中にお泊まりの予定は入れない。


5日後、こうくんの完治証明をもらうために再度診療所へ。
実はこの日の朝にバボーが発熱していた。
広い待合室で元気に走り回り大暴れのこうくん。
コタツ(なぁんと、T診療所には立派なコタツが2つもある)に足を突っ込んで
ぐったりへろへろのバボー
そんなわてら親子をビックリお目目でながめる人々・・・
ま、慣れて頂きましょう。

バボーは、オタフク風邪だった。
なぜにオタフク???
今流行っているのはインフルエンザ香港A型でしょ〜?
予防接種もばっちり打ってあるのに、なんでオタフクなんだよっ
さらに釈然としない母。

翌日、持病が出て起きあがれないばあちゃん。
しかも、朝から大雪。
見かねたこう父が、時差ボケにもかかわらず、こうくんを学校まで送ってくれた。

一方、母は
こう父のアメリカみやげの風邪薬を
冷蔵庫に大量に常備してある滋養強壮剤で流し込み、
さぁ、今日も一日がんばるぞ〜〜〜

でも、やっぱり何だか釈然としないわ・・・

(2003.2.1)



<7歳の誕生日に・・・>



あなたを初めてこの手に抱いたのは
生まれて57日目の午後だった。
だから
普通の子どもの57倍ゆっくりと
時間をかけて
あなたの成長を見守ろうと思う。
そう思えるのに随分かかっちゃった。

あの日から7年。
生きててくれてありがとう。
私たちを選んでくれてありがとう。

私たちは、あなたからたくさんのことを
教わった。

これからも、ずっと一緒にゆっくりと
生きていこうね。


こうくん、7歳のお誕生日
おめでとう

(2003.2.3)



<ビールへの道>

慌ただしい週末だった。

金曜日の早朝、ばぁちゃんのお父さんが亡くなった。
88歳の大往生。
前日まで身の回りのことは全部自分でやっていたそうだ。
私もかくありたいと思う。

知らせを受けて、じぃちゃんとばぁちゃんは取るモノもとりあえず、
ばぁちゃんの実家に直行した。
残された私は、バボーを見送り、こうくんを送ってから
10時過ぎに大量の洗濯物を干す。

ちなみに、我が家の家事分担は前半後半に分かれている。
前半の、朝食と洗濯して干すのはばぁちゃん。
後半の、洗濯物を取り入れてたたんで、夕食を作るのが私。
ばぁちゃんが洗濯物を干している間は、こうくんの世話は私がしているし
私が夕食の支度をしている間は、ばぁちゃんがこうくんと遊んでくれている。
掃除は1階がばぁちゃんで2階が私の担当。
そんな風に日々暮らしている。

前半の家事がようやく終わった頃、こうくんのお迎え。
続いてバボーも帰宅。
ばぁちゃんがいない状況下で夕飯を作るのはとっても大変だ。
しかも、朝出かけたまま、ばぁちゃんからは何の連絡もない。
取りあえず、こう父とお姉さん達に連絡を入れる。
喪服はどうしよう・・・
ここ10数年、体型の変わっていないこう父はいいとして
私の喪服は一体どうなっているのか???
あわててクローゼットから喪服を引っ張り出し
試着してみる。

くぅぅぅぅぅぅ・・・・
身動きできない。
座ってみる。
一応正座は出来る。よしOK。
でも、腕が肩から上に上がらない(T.T)

ふと気づくと、
どこからか何やら香ばしいニホヒが・・・・

コタツの中で、こうくんがウンチアートを展開していた。

普段、私はソファーに寝っ転がっていても、TVを見ていても
こうくんの気配を常に頭の隅っこに感じながら生活している。(夜中は別だけど)
だから、大抵のことは未然に防いできた。
しか〜し
バタバタしている時はダメなんだなぁ。
でもって、そういう母の心のスキマをこうくんはちゃぁんと読んでいるんだなぁ。

コタツ布団をおしり拭きで下処理して洗濯機に放り込む。
お風呂場でこうくんをキレイにしていたら、2階からバボーの悲痛な叫び声。

洗面台に吐瀉物てんこもり。

ううむ・・・7ヶ月児の離乳食20食分てとこか。
「今度からは、トイレにしようね」
「分かってたんだよ。でも、間に合わなかったんだよ・・・」
悔しがるバボーをベットに寝かせて、離乳食に挑む。
コレは初体験なのだなぁ・・・・
吐くことに慣れているバボーはこういう失敗はしなかったからなぁ。

そのままでは、粘り気が強くてすくえない。
水で4倍くらいに薄めて、地道にコップですくって便器に流す。
洗面台と便器がピカピカになった頃
またまた、バボーの叫び声が・・・

布団ゲロ。

枕の隣のゲロキャッチャー(バボーが自分で用意した)にもたんまり。
「ごめんね、ごめんね・・・・」と謝るバボー。
「うん、大丈夫だよ。間に合わなかったんだね」
そう言いながら、敷き毛布をひっぺがし、固形物を取り除く母。
いい具合に、さっきのコタツ布団の洗濯が終わっていたので
洗濯機に放り込む。
ああ、年末に大型洗濯機に買い換えておいて良かった。
ありがとう、こう父!!!!

こうくん、こうくん、こうくん・・・・
頭の中を走馬燈のように「こうくん」が回る。
ヤツは今どうなっているんだ!!!

こうくん専用プレイルーム(注・4畳半)の鍵をあけると・・・
そこはエデンの園。
素っ裸のこうくんの体をチェックしながら
床に視線をはしらせる。
水たまり2カ所。茶色い固形物はない。
よし、エライぞ、こうくん!!!
フローリングは全くもって有り難い。

後はお天気だ。
新聞の天気予報欄を見たら、明日は雨(T.T)
最近の天気予報はとっても良くあたる。
ああ、ありがたや、技術の進歩。

どうすんだよ、コタツ布団と敷き毛布。

土曜日の通夜(もちろん大雨)には私が行き
日曜日の本葬には父が参列した。

月曜日には買い物に行けると確信していた。
実は、数日前からビールが切れていた。
子どもが寝静まった夜中に飲む350mlの缶ビール・・・
コレがあるから元気に生活している私である。
なので、すぐさま買いに行きたかったのだけれど
ちょうど、こうくんがズボンからシャツまで染みちゃうくらいの大下痢が続いていて、
それが落ち着いたと思ったら、全身ジンマシン。
そんなこんなで買いに行けなかったのだ。

ばぁちゃんに泣きついたら
頂き物の吟醸酒をじいちゃんに内緒で横流ししてくれた。
でも、悲しいかな、頂き物の大吟醸はとっても量が少なかった。
大切にちびりちびりやったけど、3日で空になってしまった。
ビール、ビール、ビール・・・・
ビールが飲みたいっっっ

ご存じの方も多いと思うが
私はとっても山奥に住んでいる。
メイン・グロッセリーまでは片道30分、
一番近いコンビニまで片道25分はかかる。
なので、ちょっとそこまでビールを買いに・・・ってな事は絶対に出来ない。
コンビニが全然コンビ〜ニエンス(便利な)場所にはないのだなぁ。
とにかく、月曜日だ、月曜日。
こうくんを学校に送っていったらすぐにリカーショップへ走るんだ。


月曜日
バボー38度5分。
こうくん、測定不能だけど、途中経過で37度9分。
ダメじゃん。
行くのは酒屋じゃなくて病院じゃんか。

しか〜し、
私の辞書に「休肝日」などないっっっっ

夕方、こう父の携帯に電話する。
「お願い。発泡酒でいいから買ってきて・・・」
ああ、なんて奥ゆかしい私。

子ども達を寝かしつけ
ひたすらこう父の帰りを待つ。

帰宅した父の手には、6缶の発泡酒・・・・
ああ、これはどこからどう見ても発泡酒。

ビールへの道は遠い・・・・


火曜日
バボーは元気に学校へ。
よしよし。
朝方4時から7時過ぎまで暴れていたこうくんは爆睡中。
でも、起きればすっかり良くなっているにちがいない。

が・・・甘かった。
昼前に起きてきたこうくんの耳から黄色く濁ったドロドロの浸出液が・・・・
まちがいなく「鼓膜破れてます」状態。
よみがえる6年前の悪夢。
苦しかった耳鼻科通院の日々。
取りあえずT診療所に駆け込んだが、
「うわぁ、これはひどいなぁ・・・・・
うちでは抗生剤出す事しかできないから、明日絶対耳鼻科に行きなさい」
そうだよなぁ・・・
耳用の吸引器具なんてココにはおいてないもんねぇ。

この時期、花粉症の人たちでごったがえす耳鼻科。
しかも初診。
想像するだに恐ろしい。

いやだ、いやだ、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁ(絶叫)


ビールへの道は更に遠く険しい・・・・・

(2003.3.4)


[注]
誤解されるとイケナイので・・・
私はお酒は大好きだけれど、とっても弱い。
少量のお酒で酔うことが出来るという安上がりな体質である。
なので、夜な夜な一升瓶を抱えて酔いつぶれているわけではありません。
念のため。




<耳浴のススメ>

「耳浴」というのをご存じでしょうか。
世にも恐ろしいその処置を・・・・


滲出性中耳炎が悪化して鼓膜が破れてしまったこうくんの
耳鼻科通いの日々が始まりました。
この時期、耳鼻科は大変混雑しています。

私がこうくんのために選んだH耳鼻科は
こうくんが通う養護学校の校医をされているお医者さんの病院です。
診察30分前から予約の記名が始まりますが
30分前にはすでに駐車場は長蛇の列。
「35番」なんてことになります。
なので、45分前には行きますが、それでも「17番」が最高記録です。
耳鼻科まで40分以上かかる地域に住んでいるので
いったん帰る、なんて技は使えない私たち母子。
毎回車の中は、お茶とお菓子でドロドロです。
でも、呼ばれた時に待合室にいないと後回しにされてしまうので、
時間を見計らって待合室へ突入します。
先生は確かに障害児に慣れているのですが、
受付のお姉さんや看護婦さんはそうじゃないので、毎回針のむしろです。

診察の後、看護婦さんに「耳浴」の指導を受けました。
「横に寝させて、点耳薬を5〜6滴、耳の中に垂らす。」
・・・・・・・・・・・・・・
「薬が中に入るように耳たぶを何回か引っ張っる。」
!!!!!!!!
「そのままの状態で絶対動かさないで10分。」
(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)

「あのぅ・・10分はちょっと無理だと思うんですが・・・」
疲れ切っていたのでつい本音がポロっと出てしまった。
その瞬間、看護婦さんの表情が変わり、
くるっときびすを返し、2メートルほど離れた所で診察中の先生に向かって
「先生、耳浴、無理だそうです!!!!」

うわぁぁぁぁ
私がわるうございましたぁ〜〜〜
あなたにセンスが全くないことは一目見た時から分かっていたのに。
こういう人を相手にする場合、
ひたすらはいはいと言ってやり過ごすのが一番だって分かっていたのに。

耳浴は3分でも良いことにしてもらって、帰宅する。
さて、どうするか・・・・

考えた末、チャイルドカーシートを部屋に持ち込んでこうくんを座らせてみる。
うん、動けない、いい感じ。
カーシートごと横に倒して耳の位置を確認する。
よし、イケルかもしれない。

ばぁちゃんにカーシートに馬乗りになってこうくんの手を押さえてもらい
私は頭を押さえて点耳薬を垂らす。
耳をつんつん引っ張る。
こうくん絶叫・・・
そりゃそうだよなぁ。

でも、3分出来たよ、筋肉痛になりそうだけども、はぁはぁはぁ・・・・・
ついでに、そのまま方向を変えて仰向けにして投薬までしてしまった。
すごいぜ、カーシート!!!
ご褒美のチョコをほおばりながら天使の笑顔のこうくん。
今日からしばらく1日2回、これやるけど宜しくね(はぁと)

次の診察時
「耳浴は?」
クールに聞く看護婦さん。
「はい、ちゃんとやりましたよ。」
「ふぅん・・・(疑いのまなざし)」
あなたにはぜ〜ったい教えてあげないもんね。
どんなにカーシートがすばらしいか。

『どうやってやったの〜』
『実はカーシートで・・・うんたらかんたら・・・』
『ええ〜、それはいいわね〜。○○くんのお母さんにも教えてあげよう』

これがセンスある会話というものでしょう。


知っている人は知っていると思うけれど
私はとっても意地が悪い。
転んでもただでは起きない執念深い女である。
なにしろ巳年のA型だし。

リベンジの計画を練らねばなるまい。

運の良いことに、先日バボーが「慢性副鼻腔炎(蓄膿症)」の診断を受けた。
これほど耳鼻科にお似合いの患者はいまい。
しかも、バボーは大変外面が良い。
家ではものすごく行儀が悪いのだけれど
外では大変聞き分けが良く、おしとやかな子どもである。
「お行儀がいいわね」
「上手に躾されているわね」
とよく言われる。(バボーに躾らしいことをした記憶はない。)
これはとっても好都合。
髪を三つ編みにして、可愛い服を着せたバボーを連れて
H耳鼻科を受診しよう。
私も目がかゆいけども、我慢してコンタクトにして
ばっちりメイクしておしゃれして乗り込んでやろうじゃないの。
私は化けるのすっごく上手いんだぞっっっ
でもって、こういう事には労力を惜しまないヤツなんだ。
あとはこうくんのショートステイの予約が取れたら即決行だ。
頼むぞバボー。
母のもくろみが成功するか否かは君の演技力にかかっている。
いつもの、ふんわかほんわかぽよよよよ〜んでいいからね。


どうにもならない子どもはいる。
そして、それは決して親の躾のせいじゃない。

ただそれだけをH耳鼻科の皆さんに感じてもらうために。
ふっふっふっ・・・・・・

(2003.3.11)




<ただ今、水行中・・・・>



水行(みずぎょう・こうままの造語)とは・・・・
自分でキッチンによじ登って鍋などに水を注ぎ
ご丁寧に氷をドカドカ入れて顔を突っ込む。
前髪までびしょびしょになる。
氷が解けてくると、自分で補充する。
見ている方がさぶ〜い荒行(あらぎょう)である。
日々繰り返すうちに、
鼻とほっぺにシモヤケが出来るが
そんな事で修行を中断したりなどしない。
見上げた根性である。
水芸で口腔衛生は万全、
水行でお肌は清潔。
あとは、爪の中にたまりまくった泥を制覇すれば
もう言うことはない・・・

(2003.4.15)




<無謀な計画>

耳鼻科のリベンジは敢えなく失敗した。

誰のせいでもない、私が財布とケータイを忘れるという大失態をおかし、
穴があったら入りたい、そんな恥ずかしくも情けない結末。
もう、思い出したくもない。(ので、聞かないで)


突然だけれど
オリエンテーリングに参加することにした。
誰がって・・・・
こうくんが。

バボーの入っている子供会では
この時期、毎年行われている町主催のオリエンテーリングに参加している。
昨年はバボーの喘息の状態が良くなくて不参加だったのだけれど
今年はステロイド吸入器持参で挑戦する。

で、私は考えた。
この地域に住む小学生が全員参加するのに、
なんで、こうくんは家でお留守番してなきゃイケナイんだろう?
こうくんだって、この地域に住むりっぱな小学生の一人だ。(通っている学校は違うけど)
子供会に入って行事に参加したっていいじゃんか。
こうくんは、バボーとちがって体は丈夫だし体力もある。
ルールのある競技やゲームは無理でも
オリエンテーリングならいけるんじゃないか・・・

家族が猛反対する中(こう父なんて相手にもしてくれなかった・・)
ただ一人、担任のM先生だけが
「学校での今のこうくんの状態なら大丈夫だと思います。
ただ、家族だと少し違うかな・・・・」
と、言って下さった。
M先生が「大丈夫」と言っているのだから、大丈夫だ!!!
私は勝手にそう決めて、申し込んでしまった。

さて、家族がダメなら、誰に頼むか・・・・

こうくんが日曜日に参加しているサークルのサポーターさんにお願いすることを考えた。
こうくんの事をすごくよく分かってくれている人ばっかりだから
その中の体力のありそうな学生さんに・・・・
しかし、日程がサークルのある日と重なっていた。
だめじゃん。

そこで、考えたのが「ガイドヘルパー」。
この4月から始まった「支援費制度」のおかげで
知的障害児も堂々と(?)ヘルパーさんが利用できるようになった。
さっそく、1年前からこうくんがショートステイで利用している事業所と
居宅介護(ヘルパー派遣)の契約をした。
この事業所は、18歳以上の障害者が入所する「知的障害者更生施設」なのだけれど
昨年度から児童のショートステイの受け入れもしてくれるようになり、
今年度からは、ヘルパーの派遣やディサービスも始めた。
こうくんが通う養護学校のすぐ近くに位置しているので、大変便利。
週に2回、放課後2時間半のショートスティで利用させてもらっている。
なので、居宅介護責任者のリバーさん(男性)はこうくんのことをよくご存じだ。
その上で(←ここ重要)
「やりましょう!大丈夫ですよ。」と言って下さった。
ああ、ありがたや、ありがたや。
我が家は指定地域外で、片道25キロあるから
交通費だけで1回5000円位かかる。
それでも、何でも、
「やりましょう!」と言って下さった気持ちが、ものすごく嬉しかった。
こういう前向きで優しい事業所が増えて欲しいと心から思う。

ガイドヘルパーの確保が出来たので、
あとは、若干の環境整備をしなければイケナイ。
まずは、チーム編成。
子供会の会長は、バボーのクラスメイトのお母さんで
私が陶芸を教わっている先生の奥様でもある。
色々考えてもらって
明日子ちゃんファミリーのチームに入れてもらうことにした。
いくらガイドヘルパーさんがついてくれるといっても
そこはやっぱり、こうくんなので、色々面倒なことは出てくる。
私が一緒に入れない以上、こうくんの事を理解してくれている人の助けが必要だ。
明日子ちゃんはとっても若いのだけれど、3人のお子ちゃまのお母さんで働くママ。
メールで相談したら
「うひょ〜、それは楽しみ。カメラ持って行っていい?」
かなりの「まにあなセンス」をお持ちの方である。
さらに、バボーの担任であるY先生も同じチームに入っている。
実はこのY先生、元登山部。
最強だ。

次は肝心のこうくん。
体力は有り余っているのだが、何しろ他人に従うということをこよなく嫌う。
生まれてこのかた、ず〜〜〜っと我が道を突き進んできた。
他人の思惑通りに歩くなんてことは、最も苦手な分野である。
でも、ここ1年間の小学校生活でこうくんは変わった。
ほんのちょっとだけ妥協してくれるようになった。
だから、これはいいタイミングだと思う。
一生バギーで移動するわけにはいかない。
手をつないで歩けるようにならなければ、どこにも出かけられない大人になってしまう。
今まで、お散歩でどうしても主導権を握れなかった私だけれど
今回は負けないわっっ
主導権を握る事が出来れば、いつかは一緒にスーパーにだって行けるかもしれない。
バギーとサヨナラできる日が来るかもしれない。

バボーの学校までは片道約2キロ弱ある。
農道を往復すれば4キロ位にはなるハズだ。
私はこうくんを引きずりながら歩くことから始めた。
目的のない(砂芸できない)散歩なんて断固拒否のこうくんなので
やっぱ、ご褒美は必要である。
途中で漬け物石と化したこうくんを引きずって
ちょっとでも自分で歩いたらキシリトールガム。
ガムをもらうと、横っ飛びスキップで走り出すこうくん。
は・・速すぎるってば・・・
しばらくすると又、漬け物石。
ここで何か与えたら私の負けだ。
無理矢理引きずって、とにかく歩かせる。
んで、嫌々ながらも自分で歩いたら、ご褒美のラムネ。
繰り返すうちに、「我慢して」自分で歩く距離が伸びていく。
1年前なら絶対成果は上がらなかったと思うのに
着実に距離は伸びている。
人間て、やっぱり成長するんだな〜(しみじみ)

そんなこんなで10日間が経過した。
私の右腕は肩から上に上がらなくなった。(四十肩じゃないぞっっ)
オリエンテーリングまで残すところあと1週間。

今回ガイドヘルパーをして下さる マサルくんへ・・・・・・
ものすごくタイヘンだと分かっています。
本番は4キロじゃなくて、8キロだって事も分かっています。
しかも平らな農道じゃなくて、山道です。
最初からこんな無謀な計画たてて、ホントにすみません。
でもでもでもっっっ
どうしてもバギーとサヨナラしたいんです。
私も右腕が動く限りは頑張ります。
なので、なので、
どうか、どうか、切に、切に
なにとぞ、よろしくお願いいたします。

(2003.5.11)




<こうままの夢>

私にはいっぱい夢がある。

バギーに乗っていないこうくんを連れてスーパーで買い物してみたい。
バギーに乗っていないこうくんを連れて、レストランで食事してみたい。
バギーに乗っていないこうくんを連れて、ごくフツーの遊園地や観光地に行ってみたい。


養護学校での1年間の成果を試すべく
GWのとある日曜日に、家族連れでにぎわう「茶臼山」へ行った。
これまで、人が大勢いるところではかならずバギーに乗っかっていた。
だって、常に押さえつけていないと人に迷惑かけちゃうから。
でも、今日はちょっとだけトライでバギーから降ろしてみた。
当然、全速力で走り出すこうくん。
でも、ここは「茶臼山」
みんな走り回っているし見晴らしがいいからいい。


芝生の上にブルーシートを広げ、靴を脱がせて座らせてみたら・・・
おお、こうくんが、こうくんが、動かない、動かない!!!!
す・・・すごい。
ここには、こうくん専用オルソーチェアも脱出不能エプロンもない。
こんなにフツーに座ってお弁当が食べられるなんて(号泣)
しかも、大嫌いだった帽子も脱がない!!!
赤白帽子で訓練した成果ねっっ。M先生ありがとう。
ああ、それにしても、なんて帽子が似合うんだぁぁぁぁ

気をよくした私は足こぎボートにも乗せてしまった。
(急な飛び込みに備えて、ハーネスは装着しました)
でも、これは第三者的にはかなり無謀だった様で
後日、担任のM先生から「お母さん勇気ありますね〜」と言われた(爆)


周りで何が起ころうと、どこに行こうと全く我関せずだったこうくんが、
ようやく周囲を認知し始めた。
嫌がったり、泣いたり、怒ったりするようになってきた。
だから、こうくんの本当の意味での「経験」はこれから始まるんだと思う。
人様にご迷惑をおかけしないように十分気を配りつつ
今後もいろんな事に挑戦したいと思う。




<今年もやはり、誰もいなくなった・・・>

オリエンテーリングの前日。
実はこうくんが通う養護学校の運動会だった。
昨年は雨で延びて平日だったため、バボーは参加できなかった。
なので、初めて参加する「こうくんの運動会」にバボーはめちゃめちゃ力が入っていた。
自らも体操服を着込み、赤白帽子をかぶり、
「こうくんが走る時はバボーも一緒に走る」と意気込んでいたが、車に酔ってあえなくダウン。
ブルーシートに寝転がったままの観戦となった。(バボー、来年頑張ろうね)

ああ、何とも力の抜けた見事な走りっぷり。
M先生の手のひらに「あめ玉」がのっかっていることを知るものは少ない。




<史上最強のガイドヘルプ>

5月中旬のとある日曜日
町の体育協会主催のオリエンテーリングに参加した。
バボーと私は、こうくんとは違うチームで参加する予定だったのだが
バボーが昨夜から発熱し、参加できなかったので
私もこうくんのチームに入れてもらった。

スタート直後

スタートして500メートルで私は参加を激しく後悔した。
こうくんが、全然歩かないのである。
ガイドヘルパー・マサルくんと私が両方から腕をつかんでいるのだけれど
こうくんはそれにぶら下がる格好で、全く足を動かさない。
仕方ないので二人で引きずる。
コレはほんとに腹が立つ。
ちった〜歩けよっっと思って、引っ張りながらふと後方を見ると
明日子ちゃんが真剣にシャッターを切っている。
「この、ブランコ状態が撮りたいのよっっ」
ははははは・・・・
さすが、明日子ちゃん。ツボを心得ていらっしゃる。

(で、撮ってくれた写真↓)
ぶらさがりっっ 座り込みっっ  マリオネット・・・

思うに、
こうくんは、いつもの散歩と雰囲気が違うのが気に入らなかったのだろう。
今まで、そういった事には無頓着だったこうくんなので
これほどまでに拒否するとは予想外だった。
しかも!!!!!
事前の話では「平らな道8キロ」だったのだが、
「山二つ超えて頂きます。約9キロです。皆さん頑張って下さい。」
・・・・・・・
でも、後には引けない。
私とマサルくんはこうくんのお尻を押したりズボンのウエスト部分を持ち上げたりしながら進む。
もう、これはおんぶした方がはるかにマシって状況。


一山登り切ってちょっと休憩。
右に見えるオレンジの物体は、あとから登ってくる人影。
ここを登って来たんだよ、信じられる?

もう、あとはどうやってゴールにたどり着いたのかよく覚えていない。
写真もない(撮る余裕なんてなかった・・・)
とにかく、3時間と少しかかって、9キロの山道を歩ききった。

汗と涙と泥の結晶・「ブービー賞」


ここまで過酷なガイドヘルプはおそらく存在するまいと思う。
ガイドヘルパーのマサルくん、ホントにお疲れ様でした。
そして、最後までおんぶもせず抱っこもせず、歩かせることにつきあって下さった事に
心から感謝しています。

9キロの山道を歩ききった(引きずりきった?)私に
もう、怖いものはない・・・・

(2003.5.26)



<愛すべきアンバランス>

最近、成長めざましいこうくん。
学校に着くと、手つなぎペアのH君がわざわざ駐車場まで迎えに来てくれる。
Hくんは、両手でこうくんの右腕を握って、こうくんに引っ張られるように玄関へ・・・・
道案内をしているのは、もちろんH君なのだけども、
どう見ても、こうくんがリードしているように見えるのは不思議だ・・・

玄関で靴を脱ぎ、なあんと、靴箱に入れたりなんかもする。
もちろん、自分の場所には入れないけども。
でもって、上履きも自分ではいちゃったりする。
斜め45度上向き目線だけれど。
ああ、すごい。なんてすごいんだ。
もちろん、その間、担任のM先生がこうくんから目を離すことは一瞬もない。

ああ・・・
入学当時、1年後のこうくんのこんな姿を誰が想像しただろう。

初めてこうくんが靴を自分で履く姿を見た日
M先生は、「ええ、2〜3日前から出来るようになったんですよ」と当たり前のようにおっしゃった。
私は、帰りの車中で大泣きした。
フロントガラス越しの対向車がぼやけるくらいボロボロ泣いた。
適切な行動なんて出来るようになる訳がないと思っていたこうくんの
初めての「自立」行動だった。
今こうして書いているだけでも、その時の事を思い出してウルウルしてしまう。

そして、最近では
体重測定まで出来るようになってしまったらしい。
体重計にのっかってしばらくじっとしている・・・・
こうくんにとって、これほど難しいことはあるまいと思うのに。

お風呂の脱衣所で、一枚一枚服を脱いでかごに放り込んでいるこうくんを見ていると、
これが、去年の夏に、服のまんまお風呂に飛び込んでいた子かしら、と思ってしまう。

てな事を書くと、こうくんがすっかり落ちついた様に思われるかもしれないけれど
もちろん、そんなこた〜ありゃしません。
キッチンで野菜を切っていて、ひょいと振り向くと冷凍庫の生肉をかじっている。
水芸の後始末をしていて、ふと頭を上げると、生ゴミを床にばらまいている。
電話していて、はたと気づくと、紙粘土の山が築かれている。
その紙粘土、もとは何なんだっっ ビデオの表紙じゃんかっっ
あ〜もう、バボーったら、ビデオ出しっぱなしにしたなっっ
ってな日々を送っていたりします。

出来ることは確実に増えました。
増えているんだから、それでいいんです。

こうくんの最近のお仕事をご紹介します。
(在りし日の姿をご覧になりたい方は↓の写真をクリックしてね)
大枚をはたいて購入した
オーダーメイドの
ダイニングテーブル
心を込めて制作した
クラッシックプーの刺繍額
かまぼこ板で作った
ウッドピースのハウス

おまえはネズミかぁぁぁぁぁぁぁ・・・

ま、こんなもんです。
ゆっくり、ゆっくり・・・・ですなぁ。

(2003.6.12)

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